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論文 42



 報告講演


 減圧症にならない潜り方


                                 山見 信夫   医療法人信愛会 山見医院








 はじめに

  減圧症のリスクファクターは基本因子と誘因に分けることができる。誘因には、生理的因子と環境因子がある。
 基本因子は、ログブックにも記録される従来から知られている減圧症のリスクファクターである。
 誘因には数値で表記できるものもあるが、計測が難しいものもある(表1)。



             表1 減圧症のリスクファクター

基  本  因  子
  潜水深度  潜水時間  浮上速度  安全停止深度

  安全停止時間  潜水回数  水面休息時間  潜水地の標高

誘       因
  年齢  性差  肥満  飲酒  脱水  減圧症の経験  疲労

  体調不良  喫煙  月経  ピル服用  水温  気温  寒冷暴露

  冷え  温浴  潜降・浮上の繰り返し

  二酸化炭素蓄積(スキップ呼吸、エアー供給不良)

  運動(潜水前・中・後)  潜水後の温浴  潜水後の高所移動

  潜水後の航空機搭乗  卵円孔開存などの体質

                                                    (山見 他)


 レジャーダイバーのダイブプロフィールを調べると、最大深度が約22m、潜水時間が45分程度であるので、ここで
は、最大深度20〜30m、潜水時間40〜50分の空気ボンベを使用したスクーバダイビングについて、減圧症の予防
方法を説明する。




 基本要因


■適切な安全停止と浮上スピードについて

 Bennett PB らは、浮上速度と安全停止の条件を変えて、気泡グレード(気泡量の測定)の評価を行っている(表2)。
水深25mへの潜水では、浮上速度と安全停止の違いによって気泡の発生量に大きな差異がある。気泡発生は、ダイ
ビング後、心臓に戻ってきた静脈中の気泡について超音波ドップラーを使用して評価する。気泡のグレードは数値が小
さい方が、気泡発生量が少ないという意味である。

 たとえば、毎分10mで浮上するより、毎分3mで浮上する方が気泡発生量が多い。同じ浮上スピードであれば、安全
停止をしないよりしたほうが気泡発生量は少なくなり、水深15mのディープストップを行うとさらに気泡量が減少する。

 ただし、ディープストップ(最大水深のおおよそ半分の深度で停止すること)やシャローストップ(従来の安全停止)をし
たプロフィールにおいても、浮上スピードを毎分3mと遅くした場合は気泡量が減少しない。

 以上のような結果から、現在では、浮上スピードは毎分9m以下が提唱されるようになり、安全停止は水深5〜6m
に、3〜5分というのが一般的になった。ここで注意しなければいけないのは、安全停止後の浮上である。

 ダイバーは安全停止が終了すると、ダイビングが終了したと勘違いし、さっさと海面まで浮上してしまう。しかしながら
現実には、水深が浅いほど圧力変化の割合は大きいため、浮上スピードにいっそう気を使うべきである。毎分10mで
浮上するとしても、水深5mから海面までは30秒かけなければいけない。 


表2 水深25mに潜水したときの浮上速度と安全停止の違いによる気泡発生量の比較

浮上速度
安全停止
気泡のグレード
総減圧時間
  毎分3m
なし
8.78
8.0分  
  毎分10m
なし
7.51
2.5分  
  毎分3m
        6mに5分
8.10
13.0分  
  毎分10m
        6mに5分
5.39
7.5分  
  毎分18m
        6mに5分
7.41
6.5分  
  毎分3m
15mに5分 6mに5分
3.50
18.0分  
  毎分10m
15mに5分 6mに5分
1.79
12.5分  
  毎分18m
15mに6分 6mに5分
3.25
11.5分  
                                             
                                             (Bennett PB et al.)



 レジャーダイバーの減圧症は、この10数年、ダイビングコンピュータの普及にともない増加してきた。

 ダイビング指導団体では、減圧症を予防するためのルールを設定し、ダイバーはその規則に従い潜水しているが依
然として減圧症は発症し続けている。

 そもそも、ダイバーが何名かで同じように潜っても、減圧症になるのはそのうちのひとりなのだから、深度と時間に注
意を払うだけで減圧症が十分予防できるとは思えない。調査方法によって罹患率は様々であるが、水深20〜30mに
40〜50分潜る潜水であれば、減圧症の罹患頻度は2,000〜3,000回に1回とされる。

 減圧症がなぜ減少しないかについては、いくつかの理由があるが、ひとつには、ダイビングコンピュータのアルゴイリ
ズムに、ほとんど生理または環境の要因が加味されていないことが理由のひとつにある。

 もうひとつ、レジャーダイバーの減圧症発症にかかわる因子として重要なのが、減圧時の浮上速度と安全停止であ
る。

 半飽和時間(窒素がある組織に半分溶ける時間)について、ホールデンは、コンパートメントを5段階に分け、米国海
軍は6段階に修正し、さらに、ビュールマンは16段階に設定した。

 コンパートメントを増やしても現実には減圧症は発症している。一見、コンパートメントを増やすと精度が上がり安全
率が高くなった印象を受けるかもしれないが、レジャーダイビングでは必ずしもそうとは限らない。たとえば、水深30m
に20分潜り、指導団体の浮上スピードを守って浮上しても脳や脊髄は過飽和になる。

 その半分の水深の115mに潜水しても、少々潜水時間が長引けば血液や神経組織はほぼ飽和に達してしまう。大雑
把にいえば、長時間潜ったダイバーも短時間しか潜っていないダイバーも、浮上開始時点では、脊髄型減圧症に罹る
リスクはあまり変わらず、減圧の仕方によって罹るか罹らないかが決まるということができる。

 すなわち、脊髄などの半飽和時間の短い組織は、浮上速度が少し速いだけで気泡が発生してしまうので、レジャーダ
イバーが減圧症にならないために最も重要なのは、浮上速度と、安全停止の深度と時間ということができる。



■ディープストップの効果について
 
 水深25m、潜水時間20〜25分の潜水において、減圧時に水深15mでディープストップ(1〜10分)を行い、続いて
水深 6mでシャローストップ(1〜10分)を行うと、2分30秒ディープストップをした群が、もっとも気泡発生量が少なく、
ディープストップが1分では気泡量が最多となり、短すぎることが示めされた。

 一方、シャローストップについては10分以上行っても、あまり気泡は減少しないとしている。

 シャローストップとディープストップのどちらが重要かを検討した研究もある。最大深度20m、潜水時間40分、総潜水
時間47分の潜水において、ディープストップ群では、減圧時に水深10mで3分停止し、シャローストップ群では、水深4
mに7分停止して、それぞれを比較してみると、ディープストップ群はシャローストップ群より気泡発生が多くみられ、ディ
ープストップはシャローストップの代用にはならないという結論が得られている。 

 一方、ディープストップについて否定的な研究もある。水深50〜60mの潜水後に行った気泡の評価試験では、ディ
ープストップを行っても有意差がなかった。

 さらに、深度20mに40分潜水した後、毎分10mで浮上したダイバーについて、ディープストップ群では水深10mに
4分停止後さらに水深4mに3分停止、一方、シャローストップ群では水深4mに7分停止することとし、それぞれ運動群
と非運動群について潜水後の気泡を検査した研究では、潜水終了後に運動をすると気泡は増加する傾向にあり、運
動をするとディープストップ群のほうが、気泡はより多く発生するという結果であった。

 よって、水深20mに潜る際のディープストップの有用性については疑問視されている。
 
 これまでの研究結果を総じていえば、水深25〜30m程度の水深に20〜25分程度滞在する潜水であれば、ディー
プストップは有用であるが、それより深かったり浅かったりするダイビングではそれほど有用ではないといえる。


 
■水深10m以浅の潜水であればほんとうに減圧症は発症しないのか

 被験者586名が飽和潜水を行い減圧症発症について検討した研究では、水深3〜6mの潜水では減圧症の発症は
なかったが、水深6〜9mの潜水では減圧症の発症率が増加し、水深9mの潜水では27%が減圧症に罹患したと報告
されている。よって、この研究結果に基づけば、水深6m以浅の潜水であれば減圧症は発症しないということになる。



■リバースダイビングプロフィールは安全か

 リバースダイビングプロフィール(RDP: Reverse diving profile)には2種類ある。ひとつはmulti-level diving(マルチレベ
ルダイビング)におけるRDPとrepetitive diving(反復ダイビング)におけるRDPである。

 マルチレベルダイビングでは、浅い深度から潜水をはじめ、徐々に深度を深くするダイビングであり、反復ダイビング
のRDPは、初回に深い潜水をして、2本目以降にさらに深く潜るダイビングプロフィールのことである。RDPは、フォワー
ドダイビングプロフィール (FDP: Forward diving profile)と比較しても減圧症の発症率は高くないとする報告もあるが、
Mclnnes S らは、guinea pig を使い減圧症の発症率を調べている。

 マルチレベルダイビングについて、FDPプロフィール(36m/30mins→24m/30mins→12m/30mins)と、RDPプロフ
ィール(12m/30mins→24m/30mins→36m/30mins)を比較すると、FDPでは減圧症の発現が認められなかった
が、RDPでは55%に発症(罹患または死亡)がみられた。

 また、反復ダイビングのRDPについては、2種類の実験を行っており、Series one の実験では、FDP群(30m/30分
→15分休→20m/30分→15分休→10m/30分) と、RDP群(10m/30分→15分休→20m/30分→15分休→
30m/30分)を比較した結果、RDP群で死亡例を生じた。

 さらに、Series two の実験では、FDP群(36m/40分→15分休→24m/40分→15分休→12m/40分 )とRDP群
(12m/30分→15分休→24m/40分→15分休→36m/40分)を比較したところ、 FDP群では発症が認められなかっ
たが、RDP群では重症減圧症が発症したと報告している。よって、mirror image であれば、RDPよりFDPのほうが安全
性は高いと考えられる。



■水面休息時間は何分取れば安全か

 米国海軍標準減圧表の反復グループ記号がFより大きい記号の場合、水面休息を1時間30分取るだけで、記号は
2段階以上若くなる(安全になる)ことを認識しておくべきである。たとえば、F であれば1時間30分後は 2段階若くなり
D になり、I であれば3段階も若くなり F になる。1時間30分以上水面休息を取ることが重要であることを認識できるだ
ろう(山見 他)。




 誘因


■高齢者は減圧症になりやすいか

 42歳以上では18〜21歳の3倍減圧症に罹患しやすく、26〜41歳では18〜21歳より罹患率が高い傾向にあり、
26〜41歳の範囲では罹患傾向に差がないとする研究がある。

 静脈内気泡の気泡グレードによる評価では、体脂肪率より、年齢、体重、最大酸素摂取量のほうがリスクファクター
に成り得るとも報告されている。気泡発生は、年齢と浮上速度に関係しており、37歳以上では潜水後の気泡発生数が
増加すると報告されている。 

 一方、年齢差は誘因にならないという報告もある。男性1,516、女性226名を対象としたアンケート調査では、性差、
年齢、気管支喘息、肥満、アルコール摂取による差はなかった。 


■女性のほうが減圧症になりやすいか

 性差については古くから報告がある。2000年以前の論文は、およそ軍人を対象としたチェンバー実験が多く、女性
のほうが減圧症に罹患しやすいとする報告が目立つ。近年はレジャーダイバーを対象とした調査も行われており、男性
のほうが罹患率が高いとする報告や、性差は減圧症発症の誘因にはならないが、気泡発生は男性の方が多いとする
報告もある。2,250名のリクレーショナルダイバーを対象とした質問紙調査では、男性のほうが女性より2.6倍減圧症
に罹患しているとしている。 


■肥満ダイバーは減圧症になりやすいか

 古くから肥満は減圧症のリスクになることが知られている。米国海軍のダイバーを対象とした研究では、過去5年間
の減圧症罹患率を検討した結果、肥満は減圧症のリスクファクターになると報告している。肥満は重要なリスクファクタ
ーになるが、年齢の影響は肥満によるものと述べている報告もある。気泡発生は、体脂肪率と浮上速度に関係してお
り、体脂肪率が17.5%以上ではリスクが高くなると報告している研究もある。


■脱水は減圧症の誘因になるか

 脊髄型減圧症に罹患したスポーツダイバーを対象とした研究では、 脱水が誘因と考えられるケースが5.9%あった
と報告している。 

 動物に利尿剤を静注し曝露実験を行うと、脱水群において、死亡、中枢神経障害型減圧症、呼吸循環型減圧症が多
く出現する傾向があったと報告されている。脱水群では、呼吸循環症状について、症状出現までの時間が短い傾向が
ある。

 熱帯地方の潜水では、脱水傾向を示すため注意しなければいけないとする報告もある。
 潜水した最大水深と脱水の程度は相関し、深度が深くなればなるほど、脱水傾向が強くなるとしている。
 真夏や熱帯地方のダイビングは特に注意を払わなければならない。水分補給は潜水の前後で行う必要がある。
 チェンバー潜水1時間〜30分前までにサウナに入り潜水すると、潜水後の気泡が減少するという研究もある。


■アルコールを飲むと減圧症になりやすいか

 アルコール摂取は、利尿作用により脱水の原因になることが知られている。潜水直前の摂取は循環血液量を増加さ
せ組織への窒素分配を促進する。血管を拡張させ気泡形成も促進する可能性があるため、潜水前後のアルコール摂
取は好ましくないとされる。


■疲労しているダイバーは減圧症になりやすいか

 疲労が減圧症の誘因になることはダイバーの間では常識であるにもかかわらず、疲労と減圧症についての報告は少
ない。脊髄型減圧症に罹患したスポーツダイバーを調査した報告では、潜水前に疲労があったダイバーが約10%、潜
水中に四肢の労作があったダイバーは約4%存在したとしている。 


■最大酸素摂取量および健康状態と減圧症との関係

 潜水後の気泡発生は、酸素摂取量と浮上速度に関係しており、酸素摂取量が40ml/分/kg以上のダイバーでは気泡
発生が少ないことが報告されている。
健康状態の悪いダイバーは減圧症になりやすく、Body Mass Index (BMI) が高いダイバーほど減圧症になりやすいこと
が報告されている。 


■喫煙者は減圧症になりやすいか

 重症な減圧症に罹患したダイバーでは、ヘビースモーカーの割合が多いことが示されている。
 喫煙は減圧障害を重症化させるリスクファクターとされており、原因は、血管または肺の変化によるものと推測されて
いる。
 喫煙が減圧障害の誘因になる理由として、以下の要因が考えられる。二酸化炭素増加などから赤血球の酸素運搬
能が妨げられる。動脈硬化を促進させて酸素運搬能が低下する。肺気腫を悪化させ肺のガス交換能が低下する。気
管支分泌液の増加や組織傷害のため肺の気圧外傷のリスクが増加する。などである。総じて言えば、喫煙が誘因にな
る根拠は血管と肺の変化によるものといえる。

                      
■二酸化炭素の蓄積は減圧症の誘因になるか

 二酸化炭素が蓄積されると減圧症に罹患する確率が高くなる。二酸化炭素を蓄積する原因になる呼吸回数の低下、
極端に浅い呼吸、スキップ呼吸やホールド呼吸(ボンベの空気を消費しないようにするための呼吸)はリスクを上げる
ので行ってはいけない。


■月経, 低用量ピル服用は減圧症発症に影響するか

 チェンバーを使用した研究では、月経や低用量ピルの内服が減圧症のリスクを上げるとする報告もあるが、気泡の
産生は、ピル服用および月経周期に関係しないとする報告もある。
 一般に気泡産生は女性より男性のほうが多く、女性でも閉経期以降は気泡が発生しやすい傾向がある。気泡発生
は、年齢、体重、体脂肪量と相関している。

■潜水前に運動すると減圧症に罹りやすいか

 潜水の24時間前に運動した群と運動していない群を比較すると、潜水後の気泡グレードは、

 非運動群:運動群=3:1.5

であり、潜水前の運動が、気泡発生を減少させる可能性があることを示している。潜水2時間前から45分間の運動を
行った場合でも、潜水後に気泡が増加したダイバーは皆無で、気泡を減少させる傾向があったと報告されている。


■潜水後に運動すると減圧症の発症率が上がるか

 Rat を水深240f 相当圧(735kPa)、2時間曝露後、トレッドミルで分時1.6mの運動を30分間行い減圧障害のサイ
ン(呼吸器症状、歩行障害、運動麻痺 、死亡)を観察すると、曝露後に運動した群において死亡率と減圧症発症頻度
が高く、減圧速度が分時30fsw/min 群より分時60fsw/min群のほうが早期に死亡し、死亡率も減圧症発症頻度も高
かったと報告されている。

 運動について推奨できる指針としては、フィットネスが高いほうが減圧症になりにくいことから、日常から最大心拍数
70%程度の運動を週に90分以上(たとえば週に3〜4回、1回30〜40分以上)行うこと、潜水当日は潜水2時間くら
い前までは運動してよいが潜水中は窒素を取り込みたくないので激しい運動はしない、減圧中は軽い運動をしたほう
がよいが潜水直後はできるだけ安静を保つようにする、ということが挙げられる。
 

■潜水後の寒冷曝露と熱いシャワーの影響について

 潜水後の寒冷曝露と熱いシャワーについて検討している研究では、減圧後から3時間、10℃と40℃の空気環境下
に曝露して気泡発生を観察している。10 ℃曝露(cold air exposure群)は、40℃曝露(warm air exposure群)と比較して
皮膚温が低下したが、直腸温は変化なかった。静脈系気泡はwarm air exposure群よりcold air exposure群のほうが多
く観察され、cold air exposure群のうち、熱いシャワーを浴びた1例にType I 症状が出現したと報告している。潜水後の
寒冷曝露は気泡発生を増加させ、潜水後の熱いシャワーは気泡発生と減圧症発生頻度を増加させることを示唆して
いる。 


■水温と大気の気温差について

 潜水後の地上気温(大気温)が低いほど、減圧症は発症しやすい傾向があったという報告がある。また、水温と大気
の気温差が大きければ大きいほど減圧症発症のリスクが高まるとしている。

 生理学的な観点から、体が冷えた状態で潜水を開始すると窒素の組織への分配は進みにくい。しかし逆に、体が温
まった状態で暖かい海に入ると分配は促進すると考えられる。潜水終盤、特に浮上中や水面休息時間に身体が冷や
されると窒素の排泄が妨げられることも考えられる。


■潜水後の航空機搭乗について

 潜水後の航空機搭乗については、省略された情報が流通しているので改めてガイドラインを記す(表3)。
潜水後の航空機搭乗例を検討すると、潜水後の航空機搭乗までの時間が短く、最終日の最大深度が深いと減圧症の
発症リスクが高くなると報告されている。
我々の研究(山見 他:日本臨床スポーツ医学会 2000; 8(2): 171-176)では、航空機搭乗直前の反復グループ記号がA
-Eのダイバーは、明らかな減圧症の発症がなかった。 


表3 潜水後の航空機搭乗のためのガイドライン

 o キャビン圧2,000〜8,000ft(610〜2438m)の航空機に搭乗する減圧症に罹患していないダイ
   バーを対象としたガイドライン 

 o ガイドラインは減圧症発症リスクを減らすものであり、減圧症を起こさないことを保証するも
   のではない 

 o 航空機搭乗までの時間をさらに延長すれば、減圧症発症リスクを低下させることができる 

 o (a)無減圧潜水のダイバー 

     1回だけ無減圧潜水をしたダイバーは最低12時間あける 
     1日複数回または複数日潜水した場合は最低18時間あける 

 o (b)減圧停止が必要であったダイバー 

     基礎データが少ないため、 慎重をきして18時間以上十分確保する 
                                                   (DAN USA)


潜水後の高所移動についての指針

 潜水後の高所移動(標高400m)による減圧症を防ぐには、米国海軍標準減圧表の反復グループ記号がA〜Fのダ
イバー(潜水終了の時点)は減圧症に罹患していなかった(山見 他:日本臨床スポーツ医学会誌 1999 7(1): 68-75)(表
4)。反復グループ記号がA〜F程度のダイバーであれば、高所を通過する3〜5時間後にはA〜Cに若返っているから
である。

推奨できる高所移動の指針は(標高400mを通過する場合)、

 ・ 減圧停止が必要な潜水を行わない
 ・ 浮上速度超過をしない
 ・ 高所到達時に反復グループ記号をA〜Cにする

ということができる。


表4 潜水後の陸上の高所移動後に減圧症が発症したダイバー


  反復グループ記号 A〜F   G〜L        分類不能(ルール逸脱)

            減圧停止必要*  浮上速度超過**  合計_
  減圧症(人数)     0 14(14.3%)     84(85.7%)   32(32.7%)重複  98(100%) 
                                                          (山見 他)


 注釈 :  たとえば、西伊豆で潜水した後、東名高速道路の標高約400mの御殿場インター付近を通過して帰宅する
       場合、御殿場インター付近で反復グループ記号がA〜Cになっていればほとんど減圧症は発症しない。A〜
       Cにするには、潜水終了時点の反復グループ記号をGより若くしておけば、器材を片付けて車で移動してい
       る3時間くらいのうちにC以下になる。潜水終了時点の記号がたとえ I であったとしても、3時間44分待機
       すればCになる。







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